イベントレポート 2019.10.09
本当に住んで幸せな街「センシュアス・シティ」への可能性|UWAJIMA ふるさとMeet Up【in東京】レポート 第1回

 

7月3日に東京の都心、大手町で、宇和島のことを語りあう機会を開催しました。

宇和島市の魅力を再発見しながら、地域課題の解決と新たな価値創造への道筋を探っていく、地域未来への対話の場です。冒頭に宇和島市の紹介やうわじまシティブランディング事業の進捗報告を行い、スペシャルなゲストによるご講演とトークセッションを行いました。全4回に分けて、その内容をご紹介させていただきます。

 

第1回は、ゲスト講師 LIFULL HOME’S総研所長の島原万丈氏によるご講演内容を紹介します。島原氏は宇和島出身で、2015年、都市の魅力を測るまったく新しい物差しを提唱した『Sensuous City[官能都市]』を発表され話題となりました。様々な都市の事例とともに、これまでの「住みよい街ランキング」では測れなかった、「本当に住んで幸せな街」についてお話いただきました。

 

****

 

本当に住んで幸せな街 – センシュアス・シティ(官能都市)−

株式会社LIFULL HOME’S総研 所長 島原 万丈氏

 

皆さんこんばんは。私は宇和島出身ですが、長らく田舎にも帰ってないですし、岡原市長を目の前に言うのも恐縮なんですけど、ほとんど愛着もないので(笑)、今日はどっちかって言えば辛口担当ということでやってまいりました。

 

私は毎年、住まいやまちづくりの分野の調査レポートを作って、世の中に発表する仕事をしています。(スクリーンを見て)これは、2015年に発表した「センシュアス・シティ」、官能都市という都市の評価をどうするかというレポートです。こちらから紹介させていただきます。都市のあり方についての考え方で、大変好評いただいて、新書にもなったり、国土交通省の都市局のレポートにもがっつり載っていたりしますので、ご興味があればインターネットで全部ダウンロードできますので、ご覧ください。

 

 

 

宇和島は、“住みよい街” にはなってはいけない

今日のテーマは「宇和島は住みよい街になってはいけない」です。

これはどういうことか。

東洋経済が毎年発表している「住みよさランキング」がありますね。日本全国の街の実力を調べて、「ここが一番住みやすい」として発表しているものです。自治体の職員でも気にしている方が多い、すごく有名な調査です。

この調査で、2018年版の総合評価第1位は、7年連続第1位の千葉県印西市。なぜ千葉県の印西市が1位になっているのか…。ここで大事なのは、印西市が実際に住みやすいかどうかより、このランキングがどう作られているかです。

 

東洋経済の「住みよさランキング」の指標は、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5項目。要するに「住みよい街」というのは、この5つが十分高いレベルにある街でしょうという評価です。

 

5項目の指標を細かく見ていくと、「安心な街」とは病院のベッドの数が人口当たりどれくらいあるか、老人の施設が老人の人口当たりどれくらいあるかですね。「便利な街」とは、例えば大型小売店舗の面積が人口当たりくらいあるか。「快適な街」とは、都市公園面積が人口当たりくらいあるか、新築の住宅が世帯当たりくらい作られているか。「富裕度」の豊かさはわかりやすい。「住居水準がいい」とはどういうことかというと、持ち家世帯比率が高くて、住宅延べ床面積が一住宅当たり大きいこと。

 

つまりざっくり言うと、「建物や施設がたくさんある街がいい」との考えによる評価です。「あるならば、より大きくある街がいい、より新しくある街がいい、」と言っているわけです。ですから、郊外の今までなかったところに駅をつくって、ドーンとショッピングモールを作って、その周り宅地開発をするとランキング評価が上にガッと上がる。「住みよさランキング」とは、こういう構造になっているわけです。

 

 

この東洋経済のランキングは1993年にできました。まさにその1993年に何があったかというと、日米包括経済協議の影響で、郊外開発がどんどん進みました。90年代です。経緯を説明すると、アメリカとの貿易摩擦で、「日本は貿易黒字をためこんでひどすぎるじゃないか、もっと内需を拡大しろ」と、大統領がトイザらスの社長まで連れてガンガン責められたのです。「なぜトイザらスは日本に出店できないんだ、これは不公平だ」ということで、大店舗法が見直されて、土地税制が変わって、どんどん郊外が開発されるようになった。同時に公共事業が拡大して、高速道路やバイパスが全国津々浦々に伸びていった。宇和島の高速道路開発も、経緯から言えば多分その頃だと思います。つまり、日本中がまだ景気が良くて、人口も増えていて、都市がどんどん郊外に広がっていこうとしていた。こういう時代に作られたランキングなので、この指標で測ると印西市が一番になるのです。

 

結局そういうふうな街を作っていった時、周りはどうなっているかというと、「ロードサイド」です。Google画像検索で「ロードサイド」と入れると出てきます。これは宇和島でも結構あるじゃないですか、こういう風景が。こんな道広くないですけどね。

「ロードサイド」のGoogle画像検結果

 

 

では、都心はどうかっていうと、この大手町周辺もそうですが、「都心 再開発」で検索すると全部タワー型のビルが出てくる。全部同じです。そして、郊外の風景と都心の風景はまったく違うと思われるかもしれないけれども、実は構造は同じ。たくさんの住宅とか、人口当たりの商業施設の面積だとか、病院の数、施設の数だとかをギュッと1ヘクタールか2ヘクタール区画の間に詰め込むと都心の再開発になるのです。下は大体ショッピングゾーンが入っていますから、ショッピングゾーンがあって、上にオフィスがある。住宅がある。これを自治体クラスの面積で展開すると、印西市になる。2ヘクタールに縮めるとタワーマンションになる・・・。こういうことです。

「都心 再開発」のGoogle画像検索結果

 

だから、田舎も都心も同じ理屈で日本は街中が同じような風景になっていっているのです。どこも同じ。東海道新幹線でずっと走っていくと、どこの駅に降りたかわからなくなりますよね。それも全部このせいです。

 

そこで、そんな街が良いのかというと、どうやらそうではないということが世界の潮流になってきています。リチャード・フロリダ著「クリエイティブ資本論」では、今、先進国の経済は、クリエイティブな人たち、つまり新しいことを生み出すような人たちが集まる都市こそが経済成長していくと示しています。

 

例えばITの有名なサンフランシスコもクリエイティブな人たちや新しい人たちが集まっている。では、クリエイティブな人たちはどういうところに住みたがるのか。「多くの都市は建築物、つまりスタジアムや高速道路、都心のショッピングモールやテーマパークもどきの観光施設ばかりに注目していますが、このような箱物はクリエイティブクラスには無意味です。彼らにとって魅力的ではないし、つまらない。クリエイティブな人たちが集まるのは、質の高い快適さや経験、あらゆる多様性に寛容であること。そしてクリエイティブな人間というアイデアを発揮できるチャンスがあること」なんだと。こういう街にならないといけないのです。

 

 

 

「私」が主語になる「センシュアス・シティ(官能都市)」

日本はこれから人口が減っていって、どんどん高齢化していく中で、より高い生産性の経済を作ろうとすると、われわれ日本人は新しいビジネスを生み出していかなければいけない。そのときにいかにクリエイティブな人たちが集まっているかが、その都市の競争力を決めます。そうなると、都市の評価を変えなくてはいけない。では、都市の魅力をどうやって測るのか、それがこの「官能都市」調査(センシュアス・シティ・ランキング)レポートの大きなポイントです。

 

ただ、快適な空間や経験をどうやって測るのか、これは非常に難しい。「この街、なんかいいよね」という「感覚」は、実は測りにくい。この「感覚」を「動詞」で測ったらどうなるか、これが僕の提案です。都市の中で、人はいろんな経験をします。その経験を「動詞」として測定していくことで、どんなアクティビティがそこで発生しているのかを測定していくのが、この「官能都市」調査の肝です。

 

では、どんなアクティビティで測るのが良いのか。一つは「関係性」。人と人との「関係性」があるが故に生まれるアクティビティです。具体的に言うと、「共同体に帰属している」という感覚は都市に住んでいても必要で、行政は今まで「共同体の活性度」をどうやって測っていたかというと、「自治体加入率」です。自治会に入っているかどうかが大事だと。でも、入っていても活動してなければ何の意味もないのです。それよりも「お寺や神社でお参りした」とか、「地域のボランティア、チャリティーに参加した経験がある」とか、こういう人がどれくらい多いかが多分大事で、もっと面白いのは「馴染みの飲み屋で店主や常連客と盛り上がった」とか、「(店員と)おしゃべりしながらお買い物した」。こういう風な経験が日常的にできているかどうかで、「関係性」を測るのです。

 

ちなみにこれ、勝手に決めたわけではなくて、67項目ぐらいのアクティビティをワーッと出した上で、ちょっと専門的な分析手法の中で集約していきました。だから僕が勝手に出したわけじゃない(笑)。

 

 

それから、例えば宇和島は共同体への帰属性が強いかもしれないけど、同時に都市には「匿名性」がないといけない。何をやっても全部筒抜けなんて嫌じゃないですか、都市として。特にクリエイティブな人は嫌がる。これが国土交通省のレポートに載っていて改めてびっくりするんですけど、「不倫のデートをした」とあります。別に不倫のデートを勧めているわけではなくて(会場笑)。人目を忍ぶようなこともできるってことがすごく大事という意味です。

 

そして「ロマンス」がある。ロマンティックであるかどうか。「ナンパされた」は出会いがあるかどうか、「路上でキスした」とかありますが、これも別にいやらしい話ではなくて、普通に都市に行けば普通に見られる光景であって、こういうロマンティックであるかどうか。そして「機会がある」かどうか。「刺激的で面白い人たちが集まるようなイベントやパーティーに参加する」とか、「コンサートやクラブや美術館などで感動する」。あるいは「友人や知人のネットワークの中で仕事が生まれる」。こういうふうなチャンスに恵まれているかどうか。こういう経験があるかどうかっていうアクティビティで調べています。

 

もう一つの指標として、「身体性」。つまり身体が心地いいかどうか。これもすごく大事です。まず「食文化が豊か」とは、レストランが何軒あるかっていうことになりやすいのですが、そういう統計的なデータではなくて、例えば美味しいのは高いのも安いのもあるとか。あるいは「地元の食材、ローカルフードで地産地消の食生活ができる」こと。これは海外でも今トレンドです。地ビールとか、ローカルワインですよね。

 

例えばオレゴン州のポートランド。レストランのメニューには、普通日本だったらグラスワインの白赤があって、白ワイン、赤ワインってなっているじゃないですか。でも、ポートランドのレストランでたまに見かけるのは、まず「ローカル」との表記があるのです。ローカルワインはここですというメニューが、最初にある。で、白、赤。これはフランスなどヨーロッパからの輸入ですけど、まずローカルっていうカテゴリーを作っている。こういう店がすごく多くありますね。

 

 

それから「街を感じる」。街の活気っていうのは、実は測りにくいのです。行政が街の活気を測ると、一般的には通行人調査をしますが、通行人が多ければ活気があるのなら、多分東京だったら品川駅のコンコースが一番活気のあるところということになるわけです。けれども、あれは単なる混雑をしているだけであって、活気があるわけではないですよね。

 

それよりも、例えば「公園や路上で演奏やパフォーマンスをしている」とか、「商店街や飲食店から美味しそうな臭いがする」。つまり、誰かが活動している、人々がそこで活動をしているという気配を感じられるのが活気があるということですよね。活気があると、街を感じることができる。人が多いだけでは測れない。

 

そして、「自然を感じる」こともそうです。緑が多ければいいというわけではないですね。そうではなくて、ちゃんと自然を感じられるかどうか。「木陰で心地良い風を感じた」とか、こういう経験ができるのであれば、それだけでも人間の体というのは快適さを感じるわけです。あるいは、公園がどれだけ広いかではなくて、その公園で本当に「体験」ができるかどうか。緑や水に直接触れるようなことができるかどうか。

 

そして、「歩ける」こと。これも今、世界中の都市計画がコンセプトにしています。中心市街地からどうやって車を排除してくのかが模索されています。この前、日経新聞にも出ましたけど、国土交通省都市局も、街づくりの方針を変換するという。車中心の社会から人が歩ける社会にすると。で、その「歩ける」というのも、じゃあ歩道が広ければいいのか、バリアフリーならいいのかというと、別にそういうことだけではなくて、例えば「遠回りや寄り道をして、いつも歩かない道を歩いた」。つまり、歩くことそのものが楽しいかどうかの方が大事なわけですね。平たい道路で延々とまっすぐなところって歩いたことあります?すごくつまんないですよね、道沿いに何もなければ。これニュータウンの道路とか、埋め立て地当たりの道路とか、豊洲市場の当たり行ってみるとわかります。真っすぐですし平たいから歩きやすいですけど、全然何もないからつまんないですよ。それより寄り道とか、いつも歩かない道を歩きたくなるかが大事。

 

で、この「官能都市評価」。アクティビティの動詞で評価したことは、これまでの「住み良い街ランキング」みたいに、ビルがどれくらいあるかとか、商業施設がどれくらいあるかというのと決定的に違うのは、主語が「私」であることです。アンケートでは、「あなたは自分の街で過去1年間○○をしましたか?『はい』か『いいえ』でお答えください」と聞きました。だから、主語は「私」。つまり「人間が主人公の都市評価」になっていることが大事だと思うのです。

 

 

 

センシュアス度で全国のまちを測る

これから、「官能都市評価」の全国調査の結果を発表します。予算の都合もあって、47都道府県の県庁所在地および政令市に住んでいる人を対象に調査を実施しました。さらに東京、大阪、横浜区に分け、134のエリアを分けました。残念ながら宇和島は調査対象に入っておりません。ランキングはこんな感じです。

 

1位は東京都の文京区になっています。文京区が1位にあるのは割とランキングとして珍しいと思うのですが、考えてみれば文京区は、もともとのお屋敷もあれば、下町もあれば、神社もある。最近人気の谷根千(谷中・根津・千駄木周辺エリア)は、下町の商店街の内側に多くの外国人がカメラを持って歩いていて、すごくいろんなものがギュッと集約されている面白い街です。

 

3位は、吉祥寺のある武蔵野市。地方都市では4位に金沢市が入っています。それから静岡、盛岡、福岡、仙台、那覇と続きますね。金沢、静岡、盛岡ですから、人口が多ければ良いというわけでもない。非常にこの辺りがおもしろいランキングかなと思います。ちなみに、「センシュアス度が高ければ幸せなのか」ということを一応検証してみると、相関係数が0.43ぐらいあって、やっぱり幸せなんだなと。こういうアクティビティの多い街に住んでいることは幸せであるということが検証できました。

 

では、東京だけで見るとどういう感じか。都市のプロフィールを見ていくと、1位の文京区は全体的に高く、特に「共同体に帰属している」の項目がすごく高いのが特徴です。文京区はお寺や神社がすごくたくさんあって、そこに住人が普段から参加している。もう一つの肝は「歩ける」が全国1位であること。文京区は東京で一番坂が多い街です。坂や階段が多くて、決してバリアフリーではない。道路計画的に言うと、前近代的な路地が多いし、狭いです。それなのに文京区は「歩ける」が全国1位。だからやっぱり、都市計画に対する考え方をかなり変えないといけないですね。そして、目黒区、武蔵野市、品川区。特徴的な共通点は「街を感じる」がすごく強くて、つまり街の活気がすごくある。共通点は東京にしてはどこも商店街が元気なエリアです。

 

「都会的な街」って、よく言いますよね。「田舎」の反対が「都会」かどうかわかりませんが、「都会」の定義はなかなか難しいですよね。ただ、港区、千代田区、中央区、渋谷区という東京の4つの都心の区を見てみると、「匿名性がある」「ロマンスがある」「機会がある」この3つが高いのが特徴的です。つまり、都会かどうかっていうのは、匿名性とかロマンティックか、チャンスがあるか。これがないと田舎っぽくなるのです。多分そういうことだと思います。

 

地方都市で上位に挙がってきた街は、大体「食」文化が強い。金沢は食文化が第1位です。ほかの都市も盛岡や静岡もやっぱり食が強い。一方で、福井、前橋、富山、福島は日本の中でも自動車世帯当たりの保有台数がトップクラスに高い、いわゆる自動車社会。ここを見ると「街を感じる」ポイントは下がります。当然「歩ける」も下がるので、歩かなくなると街の活気を感じなくなるわけです。

 

松山市について見てみましょう。愛媛県では松山市だけが調査対象になっています。松山市は割とバランスが良い街ですね。これは全体で34位ですから非常に優秀と良いのではないでしょうか。細かく見ていくと、「共同体に帰属している」は26位、「食文化が豊か」も27位でかなり上位ですが、「街を感じる」が意外と70位で低かったのですね。「歩ける」は54位で、ここがやや弱い。つまりちょっと車社会っぽい影響が出てきているのかなと思います。そのほかの四国の高松や徳島や高知、それから広島と比べるとどうかって見るとそれでも悪くない。いい方だと思います。

 

 

魅力的な都市の多様性を満たす4原則

さらに、「センシュアス・シティ(官能都市)」とは、どんな街なのかをいろいろ切り口を変えて見ていきたいのですが、これは「あなたの街にはこういう条件が当てはまりますか?」って聞いた質問をセンシュアス・シティ・ランキング134都市の上位25パーセント、下位25パーセント、真ん中の50パーセントの三区分で比較していきました。

 

これは単純明快で、年齢や職業を越えて、多様な人が住んでいること。外国人が住んでいる。夫婦共働きしている人が多い、夜間に女性が1人歩きしても大丈夫で、働く女性が多い。多様な人たちが住んでいる傾向にあることがわかりました。また、センシュアス・シティにはどんな場所があるのか。小さな居酒屋や酒場が集まった横丁。個人経営のこだわりのカフェや喫茶店。有名なレストランや料亭。デートに使える雰囲気のいいレストラン。ちょっと形容詞が付くような飲食店が多いと、はっきりわかる。

 

チェーン店がどこにでもあったら、街がつまらなくなるということもよく言われますが、見てみるとチェーン店は全部ほとんどある。つまり、今時日本はチェーン店はどこにでもあり、チェーン店から逃れることはできない。チェーン店はどこにでもあるけれども、個人経営のお店も元気っていうのがセンシュアス・シティで、逆に言うとチェーン店はあるけれども、個人経営のお店がないっていうのがセンシュアスではない街ということになります。

 

そして、ショッピングモールはちょっと少なめでも、活気のある商店街。センスのいい花屋。トレンドの雑貨屋さんやセレクトショップ。感度の高いクラブ、知的レベルの高い古本屋さんなど、こういう場所が全部高くなっています。

 

 

50年前に書かれた本ですが、都市計画論の名著中の名著であるジェイン・ジェイコブズの『 アメリカ大都市の死と生』という本の中で、都市に多様性を生み出す4つの原則があると書かれています。

 

第1に「混合一次用途の必要性」。つまり用途をここは住宅、ここは商業、ここは工場というような。あんまり分けすぎちゃ駄目だと。用途は混ぜなさい。第2に、「小さな街区の必要性」。街路や角を曲がる機会が頻繁にあること。つまり大きな街区を作って、広い道路を造っちゃ駄目だということ。第3は、「古い建物の必要性」。古さや条件の異なる各種の建物が混在する。第4は、「密集の必要性」。十分な密度で人がいる。この4つが魅力的な都市の多様性を満たすという。

 

この大手町エリアには古い建物は全くなくなっていますよね。つまりこのエリアにはほとんど多様性はないと思います。かなり上澄みの方の人たちだけの街だということです。多様な街とは、古さが大事です。

 

では、全国の「センシュアス・シティ・ランキング」上位の街とこの4原則を照らし合わせてみます。住宅やオフィスや商店や飲食店が狭いエリアに混在しているとか、古い建物が新しい建物と混在している。密集っていうのは難しいが、人通りが絶えない。入り組んだ線路や路地が多い…。ほぼほぼ当たっていますよね。ジェイン・ジェイコブスが50年前に提唱していた多様性の高い魅力的な都市のあり方は、アクティビティの多さで分析をした結果、検証できたということです。

 

そろそろ終わりの時間がきましたね。ということで、最後に、この写真は僕の実家の近くですが、官能もへったくれもなくなってしまった。港を潰して高速道路を通して、この辺りにパチンコなんかありますけど、どうなんですかね・・・・。

 

ということで、(宇和島市は)そうとう官能が足りないなという風に僕は思っています。

以上です。

 

 


 

 

島原 万丈(しまはら まんじょう)

株式会社LIFULL HOME’S総研 所長

 

1989年株式会社リクルート入社。グループ内外のクライアントのマーケティングリサーチおよびマーケティング戦略策定に携わる。2005年よりリクルート住宅総研へ移り、ユーザー目線での住宅市場の調査研究と提言活動に従事。2013年3月リクルートを退社、同年7月株式会社LIFULL(旧株式会社ネクスト)でLIFULL HOME’S総研所長に就任し、2014年『STOCK & RENOVATION 2014』、2015年『Sensuous City [官能都市] 』、2017年『寛容社会 多文化共生のための〈住〉ができること』、2018年『住宅幸福論Episode1 住まいの幸福を疑え』、2019年『住宅幸福論Episode2 幸福の国の住まい方』を発表。主な著書に『本当に住んで幸せな街 全国官能都市ランキング』(光文社新書)がある。

 

Sensuous City[官能都市]
―身体で経験する都市;センシュアス・シティ・ランキング

詳しくはこちら

SHARE BACK